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3つの道具を1本の軸でとらえる

Skill・Agent・Workflow は対立する別物ではなく、同じ「委任」の延長線上にある3段階の階段です。求められる規模と確信度が上がるほど、左から右へ進みます。

  • Skill(知識を足す) … 同じ Claude に専門マニュアルを渡す。
  • Agent(仕事を1つ任せる) … 別の頭脳に委任し、結論だけ受け取る。
  • Workflow(大勢を統率する) … 多数の頭脳を台本(コード)で動かす。

まずはこの軸を頭に入れたうえで、「どれを選ぶか」の判断基準に進みます。

それぞれを選ぶ判断基準

📘 Skill を選ぶとき

メインの Claude 自身に、正しいやり方や知識を持たせたいときです。文脈(今の会話の流れ)を保ったまま続けられます。

  • 知識・手順を足したい
  • メインの Claude 自身に、正しいやり方で作業させたい
  • 出力フォーマットや規約を統一したい
  • 文脈を保ったまま続けたい

例:コミット規約、PDF処理手順、社内ドキュメント形式。

🤖 Agent を選ぶとき

独立した一塊の仕事を丸投げし、本体の文脈を汚さずに進めたいときです。

  • 独立した一塊の仕事を丸投げしたい
  • 大量の中間情報で本体の文脈を汚したくない
  • 複数タスクを並列でこなしたい
  • 役割・権限を分離した専門家に任せたい

例:広範な探索、独立した4観点レビュー、大規模移行。

📜 Workflow を選ぶとき

多数を統率し、ループ・検証・並列で網羅的・確信度高く・大規模に攻めたいときです。高コストなので明示的な依頼が原則になります。

  • 同じ手順を正確に何度も繰り返したい
  • 結果に応じて処理の形を変えたい(条件分岐)
  • 数十体規模で網羅・徹底監査したい
  • 予算制御や敵対的検証まで台本に書きたい

例:徹底監査、大規模移行、多視点検証。

判断フローチャート

上から順に「Yes」になったところで止まる、というだけの単純な分岐です。まず「自分で見れば済むか」を疑うのがコツです。

そのタスクは…
 │
 ├─ 1ファイルの場所/値を知るだけ?           ──→ Yes → 委任せず自分で見る
 │
 ├─ Claude に「やり方/知識」を教えたいだけ?  ──→ Yes → 📘 Skill
 │
 ├─ 独立した一塊の仕事を1〜数体に任せたい?   ──→ Yes → 🤖 Agent
 │
 └─ 多数を統率し、ループ/検証/並列で
    網羅・確信・大規模に攻めたい?(明示依頼) ──→ Yes → 📜 Workflow

比較表の要点

3つの違いを観点ごとに押さえます。

本質

  • 📘 Skill … 同じ頭脳に知識を足す
  • 🤖 Agent … 別の頭脳に委任する
  • 📜 Workflow … 多数の頭脳を台本で統率する

文脈

  • 📘 Skill … 共有(同じ会話の中)
  • 🤖 Agent … 分離(結論だけ戻る)
  • 📜 Workflow … 分離×多数+結果を統合

規模・制御・起動

  • 規模:Skill は規模の概念なし/Agent は1〜数体/Workflow は数十体(最大1000規模)。
  • 制御:Skill は手順書/Agent は都度の判断/Workflow は決定論的コード(ループ・分岐)。
  • 起動:Skill は自動 or /名前/Agent は自動 or 明示/Workflow は明示依頼が原則(高コスト)。
3段階の階段:Skill(知識を足す)→ Agent(仕事を1つ任せる)→ Workflow(大勢を統率する)。同じ「委任」の延長線上にあり、規模と確信度の要求が上がるほど右へ進む。

組み合わせる ── 最強の使い方

Skill と Agent は対立概念ではありません。組み合わせてこそ威力が出ます。典型は「Agent に Skill を持たせる」パターンです。専門エージェントの行動指針(システムプロンプト)の中で、特定の Skill を使うよう促せます。

例:レビュー専門 Agent × code-review Skill

  1. 司令塔が「PR をレビューして」と受ける。
  2. レビュー専門 Agent を起動(独立文脈で大量の差分を読む)。
  3. その Agent が code-review Skill の手順に従って精査する。
  4. Agent は結論(指摘リスト)だけを司令塔に返す。

こうすると、文脈を汚さず(Agent)、一貫した品質で(Skill)レビューできます。

3層フル活用

最大構成では Workflow が複数の Agent を扇形に並列展開し、各 Agent が code-review などの Skill の手順で作業し、最後に結果を統合します。3つが入れ子に重なった、Claude のオーケストレーションの最終形です。

ベストプラクティス集

Skill 作成

  • description は具体的に+「いつ使うか」を必ず書く。発動精度の9割はここで決まる。
  • SKILL.md 本文は短く。詳細は別ファイルに分けて段階的開示を活かす。
  • 1 Skill = 1 目的。あれもこれも詰め込まない。発動条件が曖昧になる。
  • 名前は内容を表す kebab-case。pdf-processing は良い、util は悪い。
  • allowed-tools で最小権限。不要な書き込み権限は与えない。

Agent 運用

  • 「返してほしい結論」を明示。中間ログは戻らない前提で発注する。
  • 読み取り探索は Explore、設計は Plan。用途に合った組込を選ぶ。
  • 軽い作業は haiku モデル。速くて安い。重い推論だけ opus にする。
  • 書き込み並列には worktree 隔離。競合事故を防ぐ。
  • 1ファイル確認程度なら委任しない。自分で見た方が速い。

Workflow 設計

  • 迷ったら pipelineparallel は「全結果が揃わないと進めない」時だけ。
  • 構造化が要るなら schema を渡す。文字列パースより堅牢で自動リトライも効く。
  • 依頼の重さに規模を合わせる。軽い確認に数十体は過剰。徹底監査なら惜しまない。
  • 確信が要る結論は敵対的検証を通す。「反証せよ」と指示した複数票で確定する。
  • 打ち切り(top-N・サンプリング)は log() で必ず明示。黙って削ると「全部見た」と誤読される。
  • 試行錯誤は resume を活用。台本を編集して再実行すれば変更箇所以降だけ走る。

アンチパターン

やりがちな失敗を避けるだけで、コストも品質も大きく改善します。

  • description が抽象的で Skill が発動しない/誤発動する。
  • 何でも Agent に丸投げして、かえって遅く・追いにくくなる。
  • 巨大な SKILL.md を1枚で書いて、段階的開示の利点を捨てる。
  • 何でも Workflow にして大量のトークンを浪費する(普通のタスクは Agent 1〜数体で十分)。
  • flatten/filter したいだけなのに parallel のバリアを挟み、速い枠を無駄に待たせる。

よくある質問(FAQ)

Q. Skill と CLAUDE.md はどう違う?

CLAUDE.md は常時読まれるプロジェクト全体のルール。Skill は必要時だけ開く特定タスクの手順書です。常に効かせたい前提は CLAUDE.md、出番が限定的な手順は Skill に置きます。

Q. Skill は手動で呼ばないと使われない?

いいえ。description にマッチすれば Claude が自動発動します。確実に使いたいときは /スキル名 で明示呼び出しも可能です。

Q. Subagent の作業内容は見られる?

最終結論は司令塔(とユーザー)に返りますが、途中の試行錯誤は基本的に隔離されます。だからこそ「何を成果物として返すか」を指示で固めるのが重要です。

Q. Skill とプラグインの関係は?

プラグインは Skill・Agent・コマンド等をまとめて配布する仕組みです。チームで配るならプラグイン化が便利です。

Q. Workflow と「複数 Agent の並列」は何が違う?

並列 Agent は司令塔がその場で同時起動するだけ。Workflow は台本(コード)で決定論的にループ・条件分岐・段階処理・予算制御まで記述できます。「同じ手順を正確に繰り返す」「結果に応じて形を変える」のが Workflow の強みです。

Q. Workflow は自分から勝手に起動する?

いいえ。高コストなためユーザーの明示的な意思表示が原則です(メッセージに「workflow」と入れる、「マルチエージェントで」と頼む、専用スキル経由など)。

Q. pipeline と parallel、結局どっちを使えば?

原則 pipeline。「stage N が stage N-1 の全結果を必要とする」時だけ parallel(バリア)にします。重複除去・合計0件での早期終了・相互参照がその典型です。

3行まとめ

  • 📘 Skill=必要な時だけ開く「専門マニュアル」。同じ Claude に知識を足す。
  • 🤖 Agent=独立文脈の「専門の部下」。仕事を委任し結論だけ受け取る。並列可。
  • 🎯 使い分け=知識を足すなら Skill、仕事を任せ文脈を守るなら Agent、多数を統率するなら Workflow。組み合わせが最強。

理解度チェック

この記事の内容を確認しましょう。選ぶとすぐ採点・解説が出ます。

  1. 同じ Claude に「知識ややり方」を足したいとき、まず選ぶべきものは?

    Skill は「同じ頭脳に知識を足す」道具。文脈を保ったまま、正しい手順や規約を Claude 自身に持たせたいときに使います。

  2. 独立した一塊の仕事を丸投げし、本体の文脈を汚さず結論だけ受け取りたい。最適なのは?

    Agent は「別の頭脳に委任」する道具。独立した仕事を任せ、中間情報を隔離して結論だけを戻せます。並列実行も可能です。

  3. 1ファイルの場所や値を知りたいだけのとき、フローチャートが勧める対応は?

    軽い確認は委任しない方が速い。フローチャートの最初の分岐で「1ファイル確認なら自分で見る」と切り分けます。

  4. Skill と CLAUDE.md の違いとして正しいのは?

    CLAUDE.md は常時効くプロジェクト全体のルール、Skill は出番が限定的な手順を必要時だけ開くマニュアルです。

  5. Workflow を設計するとき、stage 間で迷ったら原則どちらを使う?

    原則は pipeline。parallel(バリア)は「stage N が stage N-1 の全結果を必要とする」時だけ。無駄なバリアは速い枠を待たせます。